大阪府の北部に位置するオフィスの中にある社員食堂の改装工事。
既存建物の1階西端に設けられていた社員食堂が暗く、手狭だったことから、建物の東端の空間に場所を移し、新たな憩いの場として生まれ変わった。
「ECO」をテーマとし、内部の改装だけでなく、外部の既存のキャットウォークに手を加えて、自動散水を完備した植栽スペースを設けた。幹線道路を走る車からは、突如目に飛び込む緑地帯にギャップを感じるとともに、印象に残ることで会社の宣伝効果にも一役買っている。夜間はキネティクス照明により、四季を表現した光の演出が行われ、昼間とは違う味わいを与える。
食堂に入ると、開放的な天井高さと力強い無垢の木に目を引く。中心に設けたアイランドキッチンの腰壁として、楠の厚板を積み上げる。チェーンソーでつけられた力強い模様は、表層の装飾では現すことのできなかった、時間の経過と存在感を体現することができる。キャットウォークの植栽は、外の素っ気ない風景を和らげるとともに、直射日光を遮る役目も果たしている。これら全体が調和し、のんびりとリラックスできる空間をつくりだしている。
今後社会の流れに合わせて労働時間や労働力が減っていくなかで、より効率のよい労働力を得るためにも、ストレスなく体を休めることが重要な意味をもってくる。スタッフの単なる昼食スペースということだけでなく、生産活動を支える大切な場所として社会全体に存在意義をアピールするような空間が出来上がった。

所在地

大阪府茨木市

用途

社員食堂

工事種別

改装工事

構造

鉄骨造

規模

地上2階建て

改装床面積

100.51m² (30.40坪)

竣工

2019年8月

写真

太田 拓実