IH house

東大阪南部の古い街並みに建つ住宅。
もともと築100年を超える茅葺きの建物が建っており、街のなかでも一際異彩を放っていた。そんな既存の住宅も老朽化と雨漏り等が原因で建て替えることが決まりこのプロジェクトが始まった。
本家として親族が多く集まる座敷と家族のメイン空間となるLDKを、玄関を中心にL型に配置することで動線をわけている。アプローチからは縦格子の落ち着いた重みのある和の空間と空洞レンガ越しに見えるモダンな軽やかな空間の両方を感じることができ、それぞれの空間に合わせて庭の表情も変化させている。
和室の床柱は既存の住宅の大黒柱をけずり再利用している。今では見ることが少なくなった栂普請の柱が何とも言えない力強さを表現しており、歴史ある建物の血を受け継いでいる。
敷地南東角の道路からはこの建物のテーマでもあった薄い軽やかな大屋根が、茅葺きに変わる新たな街のシンボルとして存在感を示している。
座敷、LDK、寝室とシンプルにゾーニングすることで動線を整理しつつも、庭やアプローチがそれぞれの空間を結びつけることで単調な空間構成にならず、様々な表情をもつ空間の集合体として調和のとれた住宅ができ上がった。

所在地
大阪府東大阪市
用途
専用住宅
構造
木造
規模
地上2階建て
敷地面積
582.22m² (176.12坪)
建築面積
143.86m² (43.51坪)
延床面積
200.81m² (60.74坪)  1階 135.25m²  2階 65.56m²
竣工
2012年4月
写真
太田拓実